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◆事例報告

 

●テーマ:「TDM施策とバス交通の活性化について」

●報告者:山出保金沢市長

 

まず、金沢市の概況についてスライドを用いて説明する。
金沢市は、北に日本海、南に白山山系、東が富山県、西が福井県の方向となります。まちの中心には兼六園があり、香林坊は兼六園に隣接しています。北側には北陸自動車道が通り、東側と西側にI.C.があります。人口分布は市域の南部および北部を中心とした外縁部に集積が進み、現在の人口は約45万人であるが、生活圏人口としては約60万人と推察されます。南部・北部に人口集積があり、香林坊周辺に業務機能が集積するため、朝夕マイカーが集中し混雑を来たし、道路の体系的な整備が急務となっています。放射線状幹線よりも環状ルートの整備が必要と考え、内環状道路、中環状道路、外回り環状道路について建設省のご理解とご支援を頂き道路整備を進めていますが、道路の整備だけでは交通渋滞を解消することが難しい状況にあると思います。道路交通の現況についてみますと、自動車保有台数は昭和59年が179千台、平成6年が269千台で、10年間に約1.5倍となりました。D1Dの拡大状況は、昭和55年の2.5千haが平成2年には5.2haと10年間で2倍に拡大しています。
自動車交通量についてみますと、昭和60年から平成2年までの5年間に自動車交通量は約25%増加し、1日当り100万TPを越えており、昭和60年の推計による平成12年の予測値に現状で既に到達している状況となっています。主な渋滞交差点は昭和63年に12箇所であったものが、平成6年には24箇所と倍増し、パーソントリップ調査による交通手段別の自動車分担率が全目的で昭和59年が43.9%、平成7年には59.4%と15.5ポイント増加しています。
先程の環状道路の整備についてみますと、内環状道路と中環状道路の整備はかなり進展していますが、外環状道路はもう暫くかかるという状況にあります。
したがいまして、道路整備のみにより渋滞を緩和していくことが困難なため、TDM施策を導入することとなりました。TDM施策は、限られた道路空間をより有効に活用するための手法であることは案内の通りですが、大きく分けると3本の柱に分類することができます。1番目は交通手段の工夫であり、パークアンドライド、快速バス、マイカー抑制、自転車利用の促進策等があげられます。2番目に道路空間利用の工夫があり、リバーシブルレーン、バスレーン、渋滞情報等の提供等があげられます。3番目に通勤時間の工夫があり、時差出勤やフレックスタイムの導入等があげられます。
そこで金沢市のTDM施策の概要につき報告しますと、昭和46年に石川県警によりバス専用レーンが導入され、バス、タクシーおよび4人以上の相乗り車が走行できるというシステムであったと思います。現在、総延長21?qを朝夕の通勤・帰宅時間帯に設けている。
次に都心への」人乗りマイカー流入規制の提案については、昭和49年に石川県警が提案したかなり大胆な発想であり、全国的に注目され大きな話題となりました。しかし代替案がバス利用とマイカーの相乗り奨励ということになると事故責任の問題や一人乗りのマイカー規制による経済活動の阻害等への対応という課題が浮上し、時期尚早ということで実現には至りませんでした。当時はパークアントバスライドがなく、極めて大胆な発想だったと記憶しています。

 

 

 

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